樹脂部品設計のポイント
樹脂部品設計で考慮すべき内容
樹脂部品設計には前ページで記載したように、品質/生産効率/コストのバランスを考慮する必要があります。その他にも樹脂部品が金型から取り出せない、樹脂が金型全体に流れない、出来上がった樹脂部品が変形する、など樹脂部品設計特有の問題を防ぐため、下記の様な工夫が必要となります。
十分な抜き勾配をつける
樹脂部品を金型から取り外すには一定の抜き勾配が必要になります。最小の抜き勾配は1度程度とされていますが、部品の構造上、抜き勾配をつけることが出来ない場合は特別な金型構造(スライド)が必要となります。その場合、金型構造の複雑化や成形サイクルが長くなるなど、コストアップの要因となってしまいます。

製品の肉厚を出来るだけ均一にする
部分的な厚肉部は他と比べ固まるまで時間が掛かり成形サイクルが長くなるうえに、ヒケが発生しやすくなります。他にも部分厚肉部の問題を解消するために肉盗み(減肉)をすることもヒケ防止に効果的です。但し、この場合は機能や強度を考慮する必要があります。

寸法精度の出し易い設計にする
樹脂部品全体を成形収縮の影響を受け難い形状とし、可能な限り対称な形状や肉厚を均一化することで部品不良の発生を防ぐことができます。また、パーティングラインの設置位置や樹脂の流れを考慮したシンプルな形状にすることも、仕上がりや寸法精度に影響します。

樹脂部品設計では樹脂特有の問題を十分に考慮し、それぞれの問題について対策を実施することが重要です。その結果、成型サイクルが短く、品質が安定した樹脂部品を生産することが可能となります。